ソウマエが私淑するHIさんは、「727」と題するエッセイで仕事をすることと生きることについて語った。
彼は言う。飛行機が今まさに離陸するとき、ツナギを着た男が機体に向かって手を振る。
おざなりでないその手の振り方を見ているうちに涙があふれる。
夢を実現できたヤツだけが勝利者じゃない。パイロットになれなかった彼だって、
自分の持分はきっちり果たしているという高い誇りを持つ限り幸せなのだ。
幸せは誇りを持って生活する人の人数分だけ用意されていると思った、という趣旨だ。
大島が86年の秋に噴火したとき、島の人たちはどうだっただろう。
助役の秋田壽が指揮をする。でも彼にはバスの運転はできないし、発電所を維持することもできない。
一万人を13時間で脱出させた肝っ玉の据わりまくった彼でさえ、
そして、一万人が島を出た後も噴火の危険も顧みずに島に残った彼でさえ
その男たちがいなければ、脱出作戦はうまくいかなかったのだ。
その男たち。
東京電力の大島発電所で、維持のために危険を承知で残った三人。
噴火がいつ起きるとも知らないのに、バスで島民を港に運ぶバスの運転手38人。
山の中に入り込み、独居老人を港に送り込んだ消防団員の若い衆。
みんな、すごい。
異変を察知して1時間後に島民全員撤退を決めた秋田助役も、すごい。
噴火じゃ死なねえぞ、自分のように父無くして育つようには、長男はしねえぞ、と腹をくくった原田さんはすごい。
普通の人たちが
危機に際して淡々と仕事をこなしていく。
オシゴトじゃなく、自ら責任と使命を持って。
でも、やりきった後に家族と自分を守るんだという強い意志をもって。
少しの知識と、いくばくかのスキルを積めば、
この世知がらいアングロアメリカンな資本主義の世の中を勝ち抜いていくことはできるだろう。
勝ち抜くことは大切なことだ。
でも、勝ち抜くことと生き抜くことはイコールじゃない。
君は生き抜いているか?これから生き抜いていけるか?
僕はまだ修行中だ。