昨日の日記に出てくるマッサージ氏は、文学部出身のナイスガイだ。
どのくらいナイスガイかというと、ボーイング737-200ぐらいだ(エンジンはプラット&ホイットニー社製)。
金のない僕が15500円で乗れる、最終便のJTA(羽田←→那覇)で使ってるアレ。
マッサージ氏は僕のウィットのかけらもないジョークを真正面から受け止めた男として
長く仙台ロジカルスクールに語り継がれる。
それはまるでフェラーリのシューマッハー=アーバインコンビ
(または昔のロータスのマリオ・アンドレッティとグンナー・ニルソンの関係)みたないもんさ。
例えばこんな調子。
ある日僕はタッターソール地(紺と黒の格子柄で、薄いネルのような生地)のボタンダウンシャツを着て、
襟元を少し緩めてバイト先の塾に出勤した。
マ氏はすぐに「あれ、どうしたの〜、ソーマエ氏、なんかアメリカの新聞記者みたいだな」という。
0.5秒後には、シカゴ・ヘラルド・トリビューンの敏腕経済記者ネイサン・マッコーミックとかってに名乗る僕がいた。
「そうなんだよ、スティーブ。シカゴマーカンタイルじゃ、
今朝はまるで夏のインドみたいに市場が荒れちまったのさ」
すぐにロイターのやり手と化したスティーブ・バーンズ(本名政次浩)が応じてくれる。
「そいつはお気の毒だったな、ネイサン。さっきまでブルームバーグのジョンズ・パチェットも
同じ泣き言を言ってたけどな。市況はどうだったんだい?」
「ああ、そいつなんだが、アルゼンチンの8月渡し先物が6ポイントも下がっちまった。
おかげでNYCのホイーラー兄弟商会は350万ドルもの大取引がパァさ。
俺はそのネタを追っかけるのに、ランチも食わずに
シカゴ中を海兵隊の新兵なみに這いずり回ってたわけさ」
と言うようなことを、ひたすら続けるのである。
この会話のポイントは、「ER」とか「ビバリーヒルズ青春白書」の吹き替えのような、
わざとらしい日本語を使いつづける点にある。
しかも何の生産性もないので、僕らはこういう遊びをよくやっていた。
そのほかには「死語の世界ゲーム」もある。
突然、ヨレヨレの中年サラリーマン(昭和40年代後半バージョン)になり、
「どぅ?政次ちゃん、今日、コレ?」とか言いながら麻雀のしぐさとか、オチョコで酒を飲む真似をしたり、
「イヤイヤ、昨日はメートル上がっちゃったなぁ」とか
「僕はテクシーで移動するから」とか
「デモもストもねーんだよ」とかいいながら傘ゴルフをするのだ。
そのうち本当にシャドウスイングが僕の癖になってしまい、
妻から厳重警告処分を一年間に53回も受けてしまった。そういえばゴルフはいるけど、
シャドウテニスサービスとか、シャドウ卓球とかシャドウアメフトはないですね。
こういうことをやってるやつはそうはいないだろうなぁと思っていたら、上には上がいた。
赤瀬川源平である。
赤瀬川・南伸坊・ねじめ正一の三人が書いた『こいつらが日本語をだめにした』、
よんでないやつは読めよ。言葉遊びを突き詰めるとこうなるのか、という感じ。
おととしは彼の造語「老人力」がはやったけど、
『超芸術トマソン』で見せた彼のキレから考えれば、あんなのはお茶の子さいさいだろう。