今日は趣味に走っているのだ。
佐藤琢磨はモータースポーツのメッカ、イギリスで2001年度のF3チャンプになった韋駄天野郎だ。
今年からジョーダングランプリのドライバーとしてF1に乗ることが決まった。
F3からその上のカテゴリーF3000を経ないで一挙にステップアップするのは
才能のあるドライバーによくあるパターンだ。
セナ、ハッキネンが典型例だし、渋いところではステファノ・モデナやマーチン・ブランドルなんかの
実力派と呼ばれた面々がそうだ。
昨晩(27日)のフジテレビ『EZ!TV』では彼の特集をしていたが、
この番組を見て改めてモータースポーツ報道に関するフジのすごさとダメさを認識したのだった。
佐藤琢磨はチームオーナーのエディー・ジョーダン(アイルランド人)が言うように、
おそらく実力だけでオファーを受けた初の日本人ドライバーだろう。
といって、日本人以外はみんな実力でシートを射止めていると言うことではなくて、
もともとモータースポーツのトップカテゴリーF1は、カネがらみのコネなくして入れない世界なのだ。
セナやプロスト、シュー兄、ハッキネンのような、どうしようもなく才能がありあまっている連中は例外的存在だ。
佐藤はイギリスF3で01年シーズン、全26戦(13戦の2ヒート制)中12回の優勝を飾った。
今から20年前にブラジル人ドライバー、ダ・シルバが打ち立てた最多勝利記録に並ぶ快挙だ。
ダ・シルバはフルネームをアイルトン・セナ・ダ・シルバと言う。
当然、佐藤の下にはオファーが殺到し、その中からジョーダンを選んだのである。
もちろんホンダとの関係もあるだろう。佐藤はHonda Suzuka Racing School出身だから。
しかし、その関係は中嶋とホンダほどウェットなものではなかった。
中嶋も自ら言うように、ホンダとの関係がなければF1には行けなかったが、
佐藤は選べたのだ。
佐藤琢磨はレーシングキャリアたったの6年である。大学一年まで自転車競技をしていた彼は
早稲田の一年生の時に自分の夢に賭ける為自転車を降り、SRSの試験を受けたのだ。
首席でスカラシップを受け、翌年の全日本F3選手権参戦資格を得た彼は、
しかし本場で学ぶべくイギリスに渡り、F3よりひとランク下のフォーミュラ・ボグゾールから
キャリアをスタートさせた。そして勝った。F3でも勝った。チャンピオンも取った。
マルボロ・マスターズにもマカオにも出て、当然のように勝利した。
恐ろしい奴。
番組の中で鈴木亜久里が「彼は勝とうと思って勝てるドライバー」と言ってたが、
それじゃあ、セナ並ってことだな。あるいは高橋尚子か。
セナは勝つと決めたレースに異常な集中力を発揮してとってたもんな。
モナコで6回も優勝した男は彼だけだ。
その辺の取材はとてもよかった。さすがにF1中継している局と言うだけのことはある。
それにしても森本毅郎!
あなたね、「鈴木亜久里はしょせん三位どまりだった」とか暴言吐くなよ!
たしかに亜久里は優勝経験がないし、
ただ一度だけ表彰台に乗った90年の日本GPもたぶんに番狂わせの色が濃いレースだった。
でもね、表彰台に乗らないでレーシングキャリアを終えるドライバーはいっぱいいるんだよ。
それに50年代のレースのようなイコールコンディションならいざ知らず、
現代のF1はチーム間の格差が雲泥の差なのだ。そして勝てるチームは(特に90年台前半は)
一握りのエリートドライバーに独占されていたのだ。
その辺のことをわきまえずにいかにも断定的に軽軽しい口をきくのはムカっとした。
新橋の飲み屋あたりでオダを挙げてる物知りオヤジにいがちなタイプだ。
それにイギリスでF3チャンプを取ることがどれだけ意味を持つのかもっとちゃんと報道すればいいのに。
ジョーダンがどれほど抜け目のない男か、それほどの男に目をつけられたことがどれほど意味のあることか、
キッチリ言ってほしいっすよ、全く。
ポールポジション回数が少ないのに12勝もしたのは「本番に強い」んじゃなくて、
テクニックに優れたドライバーだからなんだよな。
コーナリング重視のイギリスのサーキットで、PP以外からどんどん追い抜いていけるのは
彼がバカッ早というよりはクレバーにスパッと抜いていくプロストタイプのGPドライバーだからだと思う。
もっともTBSでやってたらもっとオタク系の番組になってたかもしれない。
だからあれはあれでいいか。
それにしてもなぁ・・・佐藤の英語は実に見事だった。
それに頭の切れそうな奴だ。メディアとの対応などもとても24歳とは思えない落ち着きで、
やっぱりGPドライバーってのは現代スポーツ産業最高の役者たちだな、と再認識した。
フランスF3チャンプの福田良、ドイツF3チャンプの金石利宏。
どうしちゃったの?2001年の日本人レーサーたち!
いずれ福田も金石もGPサーカスにやってくるだろう。
できれば福田と佐藤が犬猿の中で、セナプロばりの確執でも見せてくれないだろうか。
予定調和の麗しいF1ではなく、
平和の中の戦争という実相を明らかにするために。